決意の光

 ※スクスタ内の各種ストーリーやパンフレット・雑誌、ライブの内容に言及する可能性があります



























決意の光はこれまでの栞子の物語がかなりわかりやすくそのまま歌詞になっているという印象で、歌詞のほとんどの部分から、それぞれに対応する栞子のエピソードが浮かんできます。
後から見ていくキズナエピソードでの「迷いや悩みも含めて今の気持ちをそのまま伝える」という話や、曲中にもある "飾らずに打ち明けたなら" という歌詞でも言われているように、意図的にわかりやすい歌詞になっているのだと思います。
栞子のまっすぐ系スクールアイドルという肩書きも、これまでのことを言葉で本当に素直でまっすぐに伝えてくれているこの曲と合っているなと思います。


"私が望む遥かな世界"・"誰もが幸せになれる世界" は栞子がスクールアイドルになる前から、生徒会長に立候補したときにはすでに理想としていた世界でした。
姉である薫子がスクールアイドルに入れ込みすぎたせいで人生のキャリアを台無しにしてしまい、不幸になったのだと考えた栞子は、誰も間違った道で失敗しない・適性のある道で成功する世界であれば誰も不幸にならないのだと考え、虹ヶ咲学園をそんな場所にしようと生徒会長に立候補します (薫子周りの事情はこの立候補時点では明かされておらず、1st Seasonの最後で明かされることになりますが……)。
スクールアイドルが栞子にとって失敗の象徴であるが故に、特にスクールアイドルへのあたりが強くなるという偏見が過度にあったことは否めませんが、この適性のある道を選択する手助けをしていくことで不幸を減らす、という考え方自体は僕は今でも間違いだとは思っていません。
あくまでも栞子はそれを強要しすぎていただけで、実際いま好きだけど上手くいかないことをやめて他のことを始めたらそっちの方が自分に合っているし楽しかった、ということだってあるはずですし、事実そういう生徒がいたことはストーリーでも描かれています。
その生徒は (当時の) 栞子と出会ったことで幸せになったはずです。


ただ栞子は生徒会長としての仕事を通じて、自分のやり方では人の心を動かすことはできないこと、そしてスクールアイドルには人の心を動かす力があることを、自分自身も歩夢のステージを通じて体感していきます。
決意の光MV冒頭で落ちてきたピンクの羽根 (のように見えるもの) を手にする場面があると思うのですが、これが歩夢からスクールアイドルとして目覚めるきっかけをもらったことを表しているようにも思えます。
そして心動かされた人たちの持つ情熱には、自分は到底成功しないだろうと思っていたこと (具体例として、スクールアイドルフェスティバルのような大きなイベント) を実現するだけの力があると知ります。
ここの部分が "立ち止まり見上げた先に 道がひらいた" の部分だと思っています。
"立ち止まり" とは、自分の今までのやり方の先に壁があったこと、そして "見上げた先" とは自分が今まで歩いてきたのとは別の方向にあった道・スクールアイドルの道を見つけたことで、自分が理想とする「みんなが幸せになれる世界」への道が開けた、という意味だと解釈しています。
あくまで栞子の根本には物語の最初からずっと「みんなが幸せになれる世界」があって、それを実現する手段として、適性に合ったことをするのではなく、みんなの心を動かすことの方が適切だと考えたためやり方を変えた。
栞子自身の考えとしてはそんな理屈っぽいことを考えているわけではなく、自分もファンも心を動かされるスクールアイドルへの尊敬と憧れが心を占めているのではないかなと思いますが、栞子の変化を客観的に考えると、目的は一貫しているが手段を改めた、という見方ができると思っています。
続く "眩いほどのその瞬き 心動かす 何かが変わりそうな予感がした" という歌詞が、栞子自身がスクールアイドルから感じた感動や想いを表しています。


その後の "例え今はまだ漠然とした夢でも 一歩前に踏み出してみれば明日は変わる" はスクールアイドルを始めたことで自分のこれからが変わっていくことを表していると思っています。
この部分が曲のタイトルにもある「決意」でもあると思います。
"髪飾り強く結び直して" という歌詞にそのまま続いていくところからも、決意の気持ちが感じられますし、"結ぶ" ではなく "結び直して" のところに、ただ新しいことを始めるというだけでなく、今までも頑張ってきたことがあるけど、ここからまた新しいやり方でもう一度始める、という想いを感じる気がします。
"揺るぎないキズナ胸に" というのも、紆余曲折ありながらもスクールアイドル同好会との交流を通じて生まれた絆を大事にしている、そして感謝していることが伝わってきてよいです。
"キズナ" とあえてカタカナにしているのが、全体的に和の雰囲気があるこの曲の中で目立ちますが、おそらくスクスタのキズナエピソードという表現を意識して取ってきているのかなと思います。


1番は基本的にメインストーリーからの話ですが、2番からはキズナエピソードが中心になると思っています。
キズナエピソードでは「スクールアイドルがやりたい」「みんなが幸せになれる世界を作りたい」というモチベーションだけあって、具体的に何を目指し何をやりたいのかまだわからない、という悩みが描かれます。
結論としては、「まだ答えはわからないけど、一緒に悩んでいこう」「同じように悩んでいる人に、今はそれでもいいんだよと伝えたい」「それが今のまだ悩んでいる私にしかできない歌」だと考え、その気持ちを飾らず歌にして伝える、ということになりました。
"誰もが幸せになれる世界探して 出会った期待 不安 全てが歌に変わった" がこの今の迷っている自分に対応していると思いますし、"私にしかできないこと ひとつ見つけた" の部分は「これが今の私にしかできない歌だ」と思っているところまで言葉にしてくれています。
"人知れず涙こぼす誰かに届くまで" が同じように悩んでいる人に寄り添いたい、という気持ちに対応する箇所かなと思います。


落ちサビで "ひらひらり空を舞う蝶のように 僅かでも風を起こして" の部分はいわゆるバタフライ効果に掛けているところかと思いますが、日舞のバックグランドがある栞子の蝶のように優雅に舞う姿、ステージでのパフォーマンスをきっかけとして世界を少しずつ動かしていく感じが、スクールアイドルとして心を動かしていきたいという気持ちにリンクしているような気がします。
単純にライブのパフォーマンスでも、ここのところの小泉萌香さんの歌声も振り付けもすごく好きですね。
"頼りなく揺れる心 飾らずに打ち明けたなら 輝ける" はまさにキズナエピソードで栞子が伝えたかった部分が凝縮されていると思いますが、"輝ける" とまで断言するところには悩んでいる人たちへの鼓舞だったり、自分なりの覚悟や決意だったりが含まれているようにも感じます。


曲調が和ロックになっているのも、決意感を後押ししている気がします。
尺八だったり琴だったりの和要素が含まれるのは、日舞や茶道・華道などを嗜む栞子らしさが出ているなと思います。
一方で、ロックのような激しい曲調になるのは冷静なイメージの栞子とは一見少し違う感じもしますが、栞子は自分の理想のためなら1年生ながらに生徒会選挙を仕掛けて立候補するような行動力だったり、頑固なところもあり、芯の強さも感じさせます。
そんな栞子の不器用だけど芯のある真っ直ぐな強さが、力強く叫んでいるようにも思える歌声から隠さず伝わってくるなと思いますし、純粋に小泉萌香さんのパワーある歌声とも相性がよいなと思っています。


ところで栞子のイメージカラーは翡翠色で、歌詞にも"翡翠色の光放って" とありますが、なぜ翡翠なのでしょうか?
もちろん答えはわかりませんが、まず翡翠が日本の国石であることから、和のイメージに合うことがあるのではないかと思います。
また、翡翠の宝石言葉には「幸福」であったり、石を身に着ける意味として「成功に導いてくれる」という効果があるともされているそうです。
人々の適性を見極めて成功へと後押しし、幸せへと導く、というのが栞子らしい気がします。
もちろんこれはスクールアイドルを始める前の栞子のやり方とも言えますが、以前のように強制さえしなければ、スクールアイドルを始めた後もこの能力を生かしてみんなを幸せにしていけると思いますし、栞子らしい光が翡翠色の光というのはこの解釈から考えるとぴったりだなと思ったりします。

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