GOING UP
TVアニメ「ラブライブ!スーパースター!!」挿入歌シングル【第1話盤】のカップリング曲です。
歌詞ではメインモチーフとして "風船" が使われていて、萎んだ風船が空気をもらって膨み大空に浮かんでいく様子が、応援をもらって挫折から立ち直って飛び上がっていく姿の比喩として描かれているように感じます。
1番では萎んで地面を転がっているところから空気という力を貰って飛び上がるところ、2番では飛び上がったものの風に吹かれ諦めそうになりながらも、また力を貰ってさらに上へ上へと上昇していく姿を感じられます。
"まぶたの裏には君が見えた"、"君の笑顔がきらめいてゆれるから"、"また響くのさ 平気だよ!できる!と"、"ずっと変わらない大事な気持ち 最後の最後にささえるんだ" など、誰かの姿や言葉から力を、風船で言うところの空気をもらっているような歌詞も要所要所にたくさん散りばめられており、空を目指す気持ちを支えているようです。
スクールアイドルという文脈でこれらの歌詞を考えると、この力は応援だったり、憧れだったりするかもしれません。
みんなの応援があるから頑張れる、目指したい理想があるから頑張れる、そんな「自分1人だけじゃなく周りの色んな人がいるから立ち上がれる」といったメッセージが込められているように感じます。
風船自体、実際少しの動きや風で敏感に揺れ動いてしまいそうな、「弱い存在」という印象もあり、「まだ小さな存在」だと歌い続けているLiella!の今の様子にもよく合っていると思います。
1stライブではTVアニメ第1話挿入歌「未来予報ハレルヤ!」を披露した次にこの曲が始まります。
また、この曲はイントロのうちにかのん以外のメンバーが1人ずつ舞台から捌け、1番Aメロからかのんがソロでパフォーマンスを担当しています。
この曲の歌詞をかのんに当てはめて考えてみると、1番の空に飛び立てないでいるところはTVアニメ1話で歌を諦めそうになったところを可可の言葉でもう一度挑戦しようと決意し歌うことに成功するところ、2番の飛び上がってからも風に煽られてしまうところはTVアニメ2,3話あたりでやっぱり歌えなくて苦しむところに対応しているとも解釈できます。
実際、イントロでも最後に舞台を後にする可可がかのんの背中を押すような振りがあり、かのんが可可に支えられて歌い始めているような演出もあります。
こう考えると、この曲を「未来予報ハレルヤ!」の直後というタイミングで、かのんソロで披露する文脈が見えてくるように思います。
もちろん、この曲は本来5人曲なので、この曲における「君」はLiella!の他のメンバーだったり、結ヶ丘の生徒をはじめとする友達や家族だったり、ファンだったりするのかなと思います。
例えば千砂都にとってかのんだったり、恋にとってお母さんだったり、それぞれのメンバーごとに色々考えて聴いてみるのもよいかもしれません。
曲としては割とベースが目立って聞こえるバンドサウンドという感じがします。
サビ後半は盛り上がりますが、全体としては楽器の音が強く主張しすぎない柔らかで素朴な印象があります。
雲間から日が差すような温かさを感じるインストから、サビの盛り上がりで上昇気流に乗って力強く駆け上がっていき、アウトロに入ると晴れわたる空へと舞い上がる風船を今度は遠景で爽やかに見上げているような、そんな感覚で聞いています。
その中でもDメロあたりでところどころ入ってくる鉄琴のような音がキラキラした風や陽の光のような印象で、ボーカルに音が重なるところから応援の声のようにも聴こえるところがよいなと思います。
アウトロの "ララララ" も風に吹かれて舞い上がってる感じがしていいですね。
1stライブでは、繰り返しになりますが、かのんソロでのパフォーマンスになります。
初めての有観客ライブで一番始めにソロでパフォーマンスをすることにプレッシャーや緊張などあるんじゃないかと思いますが、この曲に限らずさゆりんのダンスでの動きからは本当に全力でパワーを歌に込めてやろうというアツい気持ちを感じます。
本当に歌が好きで、歌で想いを伝えたいんだという気持ちが伝わってくる気がして、それをじっくりと感じ取れるのがこのソロパフォーマンスGOING UPかなと思っています。
そんな想いを感じながら「君」の対象をスクールアイドルからファンへのメッセージだと捉えてこの曲を聞くと、2番終わりの "大好きだよ" という歌声を聞けることにこちらこそ感謝を返したいなという気持ちになります。
いつか5人でのパフォーマンスも見られる日が来るといいなと思います。
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