やがてひとつの物語

※スクスタ内の各種ストーリーやパンフレット・雑誌、ライブの内容に言及する可能性があります





























やがてひとつの物語はまず、ミュージカルのような曲だなという印象です。
まさに物語の起伏を表現するように変化していく拍子に、美しいコーラスやオーケストラのような楽器の音、サビ前の台詞パート、そして歌詞に出てくる演劇用語なんかがその要因かもしれません。
それと比較すると、今までのあなたの理想のヒロインはストレートプレイ、オードリーは1stライブでの演出も相まって銀幕のロードショー、というイメージがあります。
実際キズナエピソードでもこれまでは演劇 (ストレートプレイ) ばかりだったが、最近ミュージカルを観るのにハマっている、という描写もあるので、あながち間違っていない気がします。
決してストレートプレイよりもグランドミュージカルの方が演劇として格上、とは思っていませんが、会場の規模や現実の役者の標準的なステップアップを考えると、この流れもまたしずくのひとつの成長のようにも感じます。
これまでの曲の雰囲気がそれぞれ異なるお芝居のスタイルを彷彿とさせることから、これからの曲でどんな舞台を見せてくれるのかも楽しみだなと思っています。


キズナエピソードではソロイベントで朗読劇と歌を組み合わせたパフォーマンスをする、という流れでこの曲が生まれました。
この演出は2ndライブでも再現され、楽曲の歌唱が始まる前に台本を手に取り朗読を行いました。
この朗読劇の内容はこれまでの自身の経験に基づいたフィクション、という感じでしずくでもあるが、しずくではない人物が主人公として描かれている、とされています。
実際歌詞もしずくが過去に悩んでいた「他人を演じてしまう私の、本当の私らしさとは何か」という問いに「演じることそのものが私らしさ」という答えを出すまでのエピソードが盛り込まれています。
歌詞で描かれているのはキズナエピソード13話までがメイン、どうしてそれを歌詞に盛り込んだのかがわかるのがそれ以降から21話まで、という形になっているのも面白いですね。


歌詞としては「自分らしさに悩む闇から救い出してくれたあなたへの感謝」というのが基本にありつつ、「だからこれからも一緒に歩んで欲しい」というメッセージだと捉えるのが大枠かなと思います。
このメッセージを「人生は舞台」「2つの物語 (人生) が出会い交わる時により素敵な物語が生まれる」というしずくの価値観に包んで表現していると思います。
一方で、この曲は結構ラブソングのように響くところもあって、例えば "重ねよう あなたと私のストーリー"、"想いを全て伝えられたら カーテンコールが起こる"、"きっと一緒ならどんな結末でもハッピーエンドに変わる" なんかがそうですね。
この曲は特定の1人の人物に向けて歌われているように聴こえますし、実際それはあなたちゃんが連想されるのが自然かと思うので、こんな歌詞をしずくに見せられたあなたちゃんは「プロポーズか!?!?」ってなってもおかしくないレベルだと思います。 (※作詞がしずくとは明確に発言されてかったと思うのでそこも含めて妄想です)


そういう意味で、僕はこの曲はある種の「あなたの理想のヒロインのアンサーソング」という側面もあるのかなと思っています。
歌詞的にもあなたの理想のヒロインにあった "第二章の始まり" に対応するように "ここからがそう第三章" という歌詞がありますし、音楽的にも落ちサビ付近に水の雫が水面に落ちたときのようなピアノの音がどちらの曲にも入っています。
振り付けでもあなたの理想のヒロインは階段を登って上のステージに行って、ただの後輩を演じるために本心の自分を遠ざけるように移動しますが、一方でやがてひとつの物語では2つの物語を交差させてこれからもともに歩んでいくために上のステージから階段を降りて近づいてきます。
こういう共通点、あるいは対比があるように見えるのも、あなたの理想のヒロインを強く意識して作られた曲だと思う要因です。


もう少し俯瞰的に見ると、僕は「あなたの理想のヒロインはあなたちゃんがしずくをイメージして作詞もしている」という解釈をしているのですが、そうだと仮定するとしずくはこの曲で「あなたちゃんのイメージする恋する演劇少女」をすでに演じているわけです。
あなたちゃんじゃなくても、多くのオタクは「いやしずくちゃんが本当に恋してるわけないからしずくちゃんが本人に設定が近い登場人物を演じてるだけやろw」と考えることで心の平静を保っていたんじゃないかと思います。
そこに対してその延長のお話としてやがてひとつの物語をあなたちゃんに手渡すと、あなたちゃん側からは「自分はただの妄想・創作のつもりだったけど、もしかして本当にしずくちゃんの本心だったのでは?」という想像が働く可能性があるわけです。
でも本人は「これは私であって私ではない」と言うわけです。
しずくは「演じることが私らしさ」な子なので、この曲の想いのどこまでが創作でどこまでが本心なのか、演目というヴェールに隠されてよくわからない。
そんな本人と演技の境界の曖昧さをうまく利用した、もどかしさにも似た絶妙な表現が、ちょっとしたしずくの茶目っ気あるいたずらにも見えてきます。
あなたの理想のヒロインとの関係を考えると、そんな風にも捉えられるな、と思っています。



2ndライブでのパフォーマンスでは、「あなた」を強く感じる振り付けが印象的でした。
これも1人の人物に向けて歌っていることを強調する表現かなと思いますし、最後に手を繋ぐ仕草なんかも「これからも一緒に物語を重ねていきたい」という気持ちを後押ししているなと思います。
この表現も、今回無観客配信でカメラワークが自由になったことでより映えていたと思います。
他にも、これは他のしずくの曲にも言えることですが、1つの振りでも大きく移動するし、全体を通してもかなりの距離を移動して舞台を広く使っているな、と感じていて、これも舞台演劇に置いても演出として意識されるポイントから来ているのかな、と思っています。
あとはやっぱり衣装がとても優雅で、前田佳織里さんの所作も丁寧で美しいのと相まって、立ち姿が本当に綺麗だなと実感するシーンが多かったです。
特に後ろ姿が本当によくて (これもカメラワークのおかげ)、1番サビ前台詞パートの "一筋の光" で前方のスポットライトに手を伸ばすところとか、落ちサビ前でセンターステージにちょうど移動し終えたところ ("重ねよう" の直前) とかが個人的にすごく好きです。

コメント

このブログの人気の投稿

Aqours☆HEROES

キセキヒカル

コワレヤスキ

僕がいい感じになるKeynoteテンプレート「Eli」作った

Märchen Star