ビタミンSUMMER!

ラブライブ!スーパースター!! TVアニメ2期6話挿入歌です。

ライブで一番盛り上がる曲と言っても過言ではないキラーチューンで、2023年3月4日現在、Spotifyでも人気曲の最上位に出てきます。
単独ライブだけでなく、9人になってから出ている対外フェスでも定番曲です (披露できる9人曲が実はまだそんなに多くないというのもたぶんある)。
ヒゲドライバーのフロア爆沸きブチ上げトラックも大きな魅力だと思いますが、語れるほど音楽に詳しいわけでもないので今回は特に歌詞について書いていきたいと思います。


まずは曲名からして天才なんですが、「ビタミン」は鬼塚夏美が使う「オニサプリ」を連想させるワードでもありますし、「SUMMER」はもちろん夏なので、そこから「夏美」も連想させます。タイトルがもう鬼塚夏美って言ってるようなものです (過言)。

「ビタミンSUMMER」という言葉は歌詞としても "白いハート染めろ ビタミンSUMMER!"などサビで使われていますが、この「白を染めるビタミン」という表現から、ビタミンは「ビタミンカラー」の意味でも解釈できます。
"Vividな季節" のような表現や、衣装のカラーリングからもそのイメージが自然に浮かんできます。
そう考えると、「ビタミンSUMMER」は「ビタミンCOLOR」と韻を踏みつつ、まさに "Vividな季節" の類語として使われている感じもあります。

このような色の表現を踏まえた上で、この曲でもう1つ天才だと思うのが「ココナッツ」というモチーフです。
ココナッツは「9つ (ここのつ)」と掛けていて9人になったLiella!を表しているのではないかという解釈もよく見かけますが、それだけでなく、ココナッツが「白いナッツ」 = 「夢がない鬼塚夏美」の比喩としても機能しているように思います。
そう解釈すると、"白いハート染めろ ビタミンSUMMER!" はまさにアニメ2期6話で夢を諦めて今は夢が持てずにいることが明らかになった夏美に対し、かのんが一緒に夢を見ようと言葉を掛けているようにも捉えられます。

ココナッツを夏美と解釈することで、歌詞全体の解釈が大きく進みます。
例えばサビでは "〇〇ココナッツ" という表現が多用されますが、
  • 1番サビ前半: ファンキーココナッツ = アニメ2期序盤のギャグパート夏美、あるいはLTuberとしての夏美
  • 1番サビ後半: クレイジーココナッツ = アニメ2期5話あたりの守銭奴夏美
  • 2番サビ前半: ダンシングココナッツ = アニメ2期6話でかのんに誘われて踊る夏美
  • 2番サビ後半: ドリーミングココナッツ = アニメ2期6話最後で夢を見つけた夏美
のように、アニメに合わせた時系列での解釈もなんとなくできるようになります。

このサビの時系列解釈で歌詞全体を見直そうとすると、1番は加入前あたり、2番は加入付近を表しているのではないかという予想ができます。
個人的には1番の歌詞はとにかくやってみよう、恥ずかしがらずに始めてみようという歌詞で、あくまで誘う側と誘われる側がいて、誘う側が歌っている歌詞という感じがします。
一方の2番はそれを経てみんなの関係がもうできていて、誘われている側ではなくみんなの一員になってからの心情、あるいはみんなの共通の心情を表現した歌詞とも受け取れるのではないかと思っています。
その解釈で改めてサビに戻ると、1番の "白いハート染めろ ビタミンSUMMER!" は「まだ夢を持っていない真っ白な心を夢で鮮やかに彩ろう」、2番の "白いミライ染めろ ビタミンSUMMER!" は「まだ決まっていない未来で、見つけた夢を叶えて彩ろう」と捉えることができ、1つの単語の違いもアニメのストーリーを経ての夏美の心情変化に対応しているように感じます。

ここまで解釈すると、ビタミンSUMMER!は本当に鬼塚夏美の曲だなという気持ちになるのですが、その上でこの歌詞を書いているのが劇中ではかのんのはずだというのがまた大きなポイントになってきます。
まさに夏美をスクールアイドルに誘ったかのんが、夏美にこの曲を贈っているかのように捉えられるのもすごく好きなポイントですし、これをかのんから受け取った夏美がさらにこの曲をどう捉えてどう表現するのか、それを考えるのも個人的に楽しいところです。

アニメのストーリーやキャラクターの心情を考えると、2番にある "夏に結び合わせた絆はほどけない" もまた、見逃せないフレーズです。
ここまで「SUMMER」を夏美的に解釈してばかりでしたが、夏は結ヶ丘にとって学園祭の季節でもあります。
1期生5人が揃って初めてライブをしたのも、2期生も合わさり9人になって初めてライブをしたのも、この夏の学園祭でした。
そんな中で去年の学園祭で加入した恋が "夏に結び合わせた絆はほどけない" と歌うことで「来年も9人の絆は続いていると確信できる」というような感覚になりますし、学園祭という場で歌う曲で、学校のこと・結ヶ丘の生徒のことを思う恋が歌うからこそ、この絆に結ヶ丘全体、ひいては観客・ファンが含まれているように感じるのも好きなところです。

このように歌詞を深掘っていくと、キャラクターの心情に触れられるいい歌詞で溢れているんですが、結局ライブで聴くときは「深いことを考えずにとにかく楽しんじゃえ!」というメッセージとしても歌詞が機能していて、細かいことは一旦忘れて純粋に楽しめるのもよいところだなと思っています。
同じ「ただ楽しむ」でも「よくわからんけど楽しい曲だから楽しむ」と「いろんなことがあったけど、そのおかげで今をめいっぱい楽しむ時間にできるから今は忘れて楽しもう」ではやっぱり違いはあるかなと思うので、歌詞を一度考えることで後者の気持ちで楽しめるのもまた1つ違った楽しみ方かなと思います。

かなり独自の解釈の方向性のまま掘り進めてしまったので、「いや、そうはならんやろ」という人もいるかと思いますが、ビタミンSUMMER!をただのクレイジーな歌詞だと思わず少し考えてみることで、新しい楽しみ方を見つけるきっかけになっていればいいなと思います。


P.S.

なんかうまいこと本文中に入れられなかったのでここで書きますが、僕が個人的に1番好きな歌詞は "僕らルーキー 夢中の申し子さ" です。
「まだ能力も何もないけど、とにかく夢とそれを追いかける情熱だけは負けない」という感じがすごくラブライブ!的だなと思うし、何も知らないからこそ気持ちだけで無敵感を感じられるピュアな若さみたいなものにすごく青春を感じてしまって、とても好きです。
この気持ちだけでは現実うまくいかないことも多いと思いますが、始めたばかりでも気後れせず楽しむこと、新しいことを始めるときにそんな風に夢中になれる期間を持てること、は大切にしていきたいなと思わせてくれます。

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