VIVID WORLD

※虹ヶ咲のTVアニメ・スクスタ内の各種ストーリーやパンフレット・雑誌、ライブの内容に言及する可能性があります





























VIVID WORLDの歌詞はTVアニメの内容と密接に関係しているので、まずはTVアニメの果林について、登場シーンが多かった5話と9話を中心に触れていきたいと思います。


まず5話では、スクールアイドル同好会のみんなと一緒に過ごすのが楽しくて、スクールアイドルに興味があるのに、なかなかその気持ちを表に出せない果林の姿が描かれていました。今まで作り上げてきた "朝香果林" というイメージから離れるようなことをしたくない。その背景にはさらに、これまで作り上げてきた自分を好きになってくれた人を裏切りたくないとか、違う自分を見せて受け入れてもらえなかった時の恐怖とか、いろいろな感情があるのだろうと思いますし、僕自身も共感できるところがあります。

エマに「スクールアイドル同好会と一緒に活動するのが楽しい」という想いを打ち明けるに至ったのは、結果としてインタビューを見られて言い逃れできなかったところもあるとは思いますが、その前のシーンでスクールアイドルに興味がないと嘘を吐いて突き放してしまったのにもかかわらず、本音を知って真摯に向き合ってくれる親友への誠意みたいなものもあったのだと思っています。

そんな "朝香果林" らしくない朝香果林もエマが受け止めてくれたことで、新しい朝香果林と向き合っていこうと思えた。新しく芽生えたこの「みんなと一緒に過ごすのが楽しい」という気持ちを受け止めてもらったことが、VIVID WORLDの "一人きりじゃきっと知らずにいた弱さ・痛み・翳り全部 好きだって笑うキミが好き" という歌詞の原体験のうちの1つだと思っています。

果林の気持ちを動かす1つの要素となったLa Bella Patriaはまるで果林に向けて作られたかのように果林に響く歌詞です。ですが僕はやっぱりこの歌詞はエマちゃん自身の歌で、5話の途中にもあったように、故郷の家族に伝えたい自分自身の想いを歌っている曲だと思います。それでもまるで果林のことを歌っているかのように聞こえるのは、この曲が大まかに

  • 1番:日本に来てスクールアイドルを始めたあたり
  • 2番:スクールアイドルとしての活動を始めた今
  • ラスサビ:これからへの想い
という構成になっていて、アニメでは1番が使われたからだと思っています。僕はエマが最初に果林に出会ったときに果林から言われた「アイドルだってすごいじゃない。お互い頑張りましょ」という応援の言葉で心がぽかぽかになったんじゃないかと思っていて、そんな背中を押された頃のエマ自身の気持ちが1番に詰まっているからこそ、今まさにスクールアイドルを始めようという果林にも響くのだと思っています。


VIVID WORLDの話だったはずがなぜかLa Bella Patriaの話をする脱線オタクになってしまったのでそろそろ話を戻したいと思います。

エマに受け止めてもらえたことで始めることができた同好会の活動ですが、エマだけでなく他の同好会のメンバーにも受け止めてもらえていることがよくわかるのが9話です。

9話では本気でやりたいからこそ厳しい意見を言ってしまうところや、方向音痴なところ、ライブ前に弱気になってしまうところなど、嫌われてもおかしくないところや失望させてしまうかもしれないところ、いわゆるクールな "朝香果林" とは違う一面をたくさん同好会のメンバーに見せる形になりました。それでも、同好会のメンバーはそんな果林を否定することなく、受け止めてくれました。これには同好会メンバーそれぞれのこれまでの成長もあって、以前の同好会ではこうはいかなかったかもしれませんが、何にせよ今の同好会は、果林にとってどんな自分を見せても受け止めてくれる大切な居場所なんだろうと感じます。これは9話冒頭・Wishの歌詞を引用した語りの部分でも言及されています。

さらに9話の冒頭では、ファンからモデルとしてではなくスクールアイドルとしてサインを求められることを喜ぶ果林の姿が描かれていました。これは今までのイメージ通りのモデルの "朝香果林" ではない朝香果林の一面を好きになってもらえていることへの喜びだと僕は思っています。イメージを壊すことを恐れていたからこそ、なおさら受け入れてもらえることが嬉しいのだろうと思っています。

スクールアイドル同好会と活動するのが好きで、そんな自分を受け止めてくれるスクールアイドル同好会のことが好きで、スクールアイドル同好会のことが好きな自分も好きで、自分が好きな新しい自分のことを好きでいてくれるファンも好き。

VIVID WORLDの "一人きりじゃきっと知らずにいた弱さ・痛み・翳り全部 好きだって笑うキミが好き" という歌詞が指す "キミ" は、エマをはじめとする受け止めてくれた同好会のメンバー等とも取れるし、"スクールアイドルの朝香果林" を認めてくれるファンとも取れるなと思いながら聞いています。VIVID WORLDという曲の根幹にあるのは、そういった自分が好きになれる自分を引き出し、受け入れてくれたことへの感謝だと思っています。

"守りたいような守られてるような" という歌詞からもそんな気持ちをすごく感じていて、エマを通じてお手伝いをしたり厳しい意見を投げかけたりと、お世話をして守っているようでいて、そんな自分を受け入れてくれることが支えられているようにも感じる、そんな風に思います。VIVID WORLDという曲や、曲前の「仲間だけど、ライバル。ライバルだけど、仲間」というセリフは、虹ヶ咲のコンセプトそのものを表現しているようにも思えますが、それに加えて果林自身が感じるスクールアイドル同好会のみんなへの思い、本気でぶつかり合ってくれることへの敬意と受け止めてくれることへの感謝が詰まっていると思います。


5話に少し話を戻すと、インタビューのアンケートで「応援」が漢字で書けなくて「応●えん」になってたのが視聴者の一部の間で話題になっていました。これに関して、まあ「援」の漢字がわからないところは一旦置いておくとして、そもそもあの時の果林は本音を公にするわけがないので、この内容は絶対あとで消すんですよね。実際字もボールペンというより鉛筆等で書かれたような筆跡に見えます。そのまま提出しないから正しい漢字をいちいち調べる必要もないし、ちゃんと消しゴム等で消す必要もないわけです。それに対して、VIVID WORLDでは自分の想いを歌にして、公の場で伝えています。これは成長とも言えるし、その成長の背景にあるのは「今まで同好会やファンのみんなが受け入れてくれたから大丈夫」という自信だったり、信頼だと思います。曲そのもののメッセージだけでなく、そのメッセージを曲という形にしてみんなに伝えようとしてくれたこと自体も、僕はとても嬉しく思います。

"a Rainbow Colors" という歌詞も好きで、colors と複数形なのに冠詞の a が付いていて、"Rainbow Colors" が「複数のものを合わせてできた1つのもの」を表す固有名詞のように使われています。その直前の歌詞の "正解も輝きもひとつじゃない" とあるように、自分 (たち) が出す答えが Yes/No のように1つの色ではなく、多様で複数の色を同時に持っていてもよい、という風に感じます。これはスクールアイドル同好会や虹ヶ咲というコンテンツのコンセプトそのものとしても捉えられると同時に、果林自身が多様な魅力を持っていることも含まれていると思っています。

VIVID WORLDという曲自体もある意味でそうだと思っています。というのは、歌詞は今まで見てきた通り結構殊勝で素直なメッセージという感じですが、曲調自体はStarlightに近いクールでカッコいいフロアミュージックであり、今までのカッコいい朝香果林のイメージに近いと思うからです。確かに "スクールアイドルの朝香果林" は今まで見せてこなかった朝香果林ではありますが、だからといって "モデルの朝香果林" も嘘の朝香果林というわけではなく間違いなく本来の魅力を持った姿の1つです。今までの果林の曲は基本的に歌詞と曲調がマッチしたものでしたが、素直な歌詞とカッコいい曲調という多面性が1曲の中に詰め込まれていることが、果林自身の多様な魅力を代弁しているようにも感じます。

この曲調に合ったダンスMVも本当によくて、ダンスは特に要所要所でのポーズのスタイルのキレイさや、ウォーキングで培われた腰の動きがとても滑らかなのがとても好きで、モデルであることやダンスに力を入れていることがよくわかるMVになっているのがとてもありがたいと思っています。

曲調の話で言うと、2番Aメロに入る直前のボンゴのような打楽器などラテン系の要素も微妙に入っていたり、Dメロ終わりやラスサビに現れる鷹のような鳥の鳴き声なんかは、Fire Birdを意識しているのかな、と思っています。

実際、アニメの果林はスクスタと違うように見えますが、根幹としては共通したところが描かれていると思っています。例えば、イメージを守ろうとしてなかなか自分の本音が言い出せないところはWishとそのキズナエピソードに共通した部分だと思います。Fire Birdのキズナエピソードでは、過去にやる気になりすぎて周囲との空気感の差に苦しんでいたものの、本気でぶつかり合うことができる同好会と出会えたおかげで自分もまた全力でやろうと思えるようになった果林の姿が描かれています。Fire Bird披露後には、果林の本気のパフォーマンスを見たせつ菜とかすみも燃えていて、「この同好会に入ってよかった」と果林が漏らすシーンもあり、自分の本気をぶつけ合える相手がいることへの感謝が伺えると思います。


アニメの果林、そしてVIVID WORLDはこうした今までスクスタで見せてきた果林のよさ・魅力・考えなどを再編して纏め上げつつ、今まで注目されていなかった角度から見つめ直したものだと思っています。9話のストーリー・曲・歌詞・ダンス、どれを取ってもこれまでの果林と真摯に向き合ってできたものだと感じます。これはもちろん他のメンバーに関してもそうだと思ってはいるのですが、僕個人が果林推しなので特にそういうところをより強く感じるのかもしれません。アニメ果林の解釈の好みは人それぞれかもしれませんが、僕個人としてはこれだけの愛を込めて作られたことがひしひしと伝わってくるVIVID WORLDという曲に感謝しかありません。

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